コロナウイルスの影響で、在宅勤務やリモートワークが増えた近年。時間に余裕を持てた人も多くいらっしゃるんじゃないでしょうか?
そこで「副業・アルバイト」を始められた方や、これから始めようと考えていらっしゃる方もいると思います。
そこで気になるのが、お金を稼ぐわけですから「税金」はどうしたらいいのだろうか?などわからない不安があると思います。
そこで今回は本業の片手間にやる副業やアルバイトで得た収入にかかる「税金」について解説していきます。
この記事の目次
副業とは何なのか
「副業」と聞いてイメージはできても具体的に答えることは難しいと思います。
そもそも副業とは、本業以外の仕事で収入を得ることを指します。兼業・サイドビジネスとも呼ばれ、雇用形態によってはアルバイトや在宅ビジネス、内職などに分類されます。かたちは違えど、一括りに副業と言います。
日本では明確に法律で副業禁止はされていません、就業後の時間の使い方は個人の自由です、そのため、例えば株式投資で利益を出したり、友人の引っ越しのお手伝いで報酬を得た、などのケースが懲戒の対象になることはありません。
2018年に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作成しています。
以前には「モデル就業規則」に、副業禁止の規定を記載していました。
モデル就業規則が改定されまでは、労働者の遵守事項に「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定がありましたが、これを削除し新たに「副業・兼業」という章を設けて以下のような条文を追記されています。
第14章 副業・兼業
(副業・兼業)
第67条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行う ものとする。
3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会 社は、これを禁止又は制限することができる。
① 労務提供上の支障がある場合
② 企業秘密が漏洩する場合
③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④ 競業により、企業の利益を害する場合
これを機に、副業を解禁する会社が少しずつ増えてきました。
しかし、就業規則で副業を禁止している会社もまだ少なくはありません。もし副業が許可されていても、事前に会社の承認を得る必要がある場合もあります。本業の会社とのトラブルになる可能性もありますので、副業を考えている方は自社の就業規則は必ず確認するようにしましょう。
副業の種類によって税金が異なる
所得税法では、所得の種類が「利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得」の10種類に分類されています。会社員として働いている本業はこのうちの給与所得に該当してきます。
なので副業と言っても、副業の中身が違うと所得税金の種類が異なり、課税される所得の計算方法が変わってくるというわけです。
確定申告が必要な副業の除件
一般的に会社勤めをしている場合、毎年11月頃から年末調整が始まります。年末調整は、従業員の1年間の所得を会社が計算してくれて、正確な納税金額を計算する作業を言います。ただし、副業での収入や所得を得た場合は年末調整ではなく、確定申告をする必要があります。
副業の確定申告については、基準となる金額やポイントがあります。
本業で年末調整してくれる会社の社員は「給与所得や退職所得以外の所得が20万円以下であれば、確定申告をする必要はない」と言われています。
なので、本業も副業も給与所得である場合には、必ず確定申告が必要になってきます。例えば本業は月曜から金曜で経理部で正社員として勤務し、副業として月に1〜3回でアルバイトをしたような場合には、副業収入の金額によらず必ず確定申告が必要になります。
2箇所以上から給与所得としてもらう場合は、合算して確定申告をする必要があります。なぜなら、年末調整をしてくれる会社は本業の会社1ヶ所のみと決まっているからです。なので、副業の収入が給与収入である場合、その収入金額が20万円以下であったとしても確定申告をする仏ようが出てくるというわけです。
確定申告の注意点(経費を引くのをわすれずに)
給与所得は収入金額に応じた給与所得控除額(みなし控除額)が定められています。雑所得や事業所得を計算する上では、これに対応する経費を差し引くことができます。
1. たとえば広告収入で年間30万円程度の収入があったとします。
2. 広告収入を得るために必要な経費が11万円かかったとします。
3. 30万円-11万円=19万円は20万円未満となりますので、確定申告の必要はありません。
経費と判断される基準
経費として認められるかは、その経費が収入を得るために要した費用かどうかがポイントです。例えば持ち家で自宅開業している場合、事業活動に必要な敷地面積に対応する固定資産税相当額が経費として認めらるというわけです。
逆に事業活動に関しない部分、例えば家庭用として使用している面積に対応する固定資産税相当金額は経費に入れることができないのです。
会社の社長や会長など、収入が多い人達がわざわざ高級車を買ったりするのは税金対策になるから。という場合がほとんどです。
国税庁がわかりやすく経費の説明をしている資料がありますので参考にしてください。
経費として申告するために必要なもの
確定申告を正確にするためにも必要になってきます。
事業に関する支出なのであれば、経費として申告することが可能です。その場合には、支出の内容を示す請求書や領収書などの証拠書類を用意する必要があります。なので、基本レシートなどは保管するようにしておきましょう。
なお、クレジットカードの利用明細はお店が発行したもではなく、場合によっては税法上の要件を満たさない明細もあります。なので、領収書として認められないケースもあります。
お店が発行した領収書を保管しておくのをおすすめします。
税金の申告が必要になる金額の目安(場合別)
フルタイムで働く正社員がその会社の給与以外かんらの所得を得る場合について解説しています。
No.1 ブログの広告収入
ブログの広告収入(アフィリエイト)は「雑所得」に該当します。給与所得で年末調整を行なっており、かつアフィリエイト収入から必要経費を差し引いた金額が20万円以下であれば、確定申告する必要はありません。
20万円を超えた時に確定申告をする必要があります。
必要経費には、レンタルサーバー代やドメイン所得代、コンテンツ商材費などを含めることができます。その他にブログ記事に関する交通費や消耗品費なども認められる場合があります。
No.2 FX(外国為替証拠金取引)
FXによる年間の所得が20万円を超える場合には、確定申告が必要になります。
この場合には、「先物取引にかかる雑所得等」として、所得税15%(他に地方税5%)の税率で課税されます。
しかし、FX取引口座からの引き出しがなければ確定申告の必要はありません。
No.3 株式取引
株や投資信託を売却したことによる所得は「譲渡所得」となります。給与所得者の場合、給与所得および退職所得以外の所得が20万円以下なのであれば確定申告は不要ですが、源泉徴収口座か源泉徴収口座以外かによって、申告する必要があるかどうかが異なってきます。
・源泉徴収口座以外で20万円以下の利益の場合、確定申告不要
・源泉徴収口座の場合には利益の額に関わらず、確定申告不要
確定申告不要、確定申告が必要になる場合、申告書作成の大まかな手順は以下のとおりです。
1. 株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書を作成
2. 第三表分離課税用に転記してから税額計算
3. 第三表の税額計算結果を確定申告書B第一表に転記
No.4 物販・小商・ネット販売
ネットショップ(メルカリ・ラクマ)などでの収入以外に、フリーマーケットやワンデイショップなどの実店舗で収入を得る場合は、「雑所得」になります。
出品するためにかかった経費として、出品ブースや区画に対する費用や、ハンドメイド雑貨などの原材料費などを含めることができます。
収入から上記の経費を差し引いた所得が20万円を超える場合、確定申告が必要になります。
その他ネット販売も上記と一緒で「雑所得」になり、経費を差し引いた所得が20万円を超える場合には、確定申告が必要になるます。
No.5 アルバイト・パート
アルバイト・パートには確定申告が必要なケースと必要ない場合があります。
申告が必要なケースは以下になります。
・月の収入が88,000円を超える
・掛け持ちでアルバイト・パートをしている
・年内に辞めた仕事がある
月の収入が88,000円を超える
一般的に年収が103万円以下であっても、月収88,000円を超える月があれば源泉徴収されます。アルバイト・パート先で年末調整してくれていると、余分に収めた所得税を給与で調整してくれたりします。
アルバイト・パート先が年末調整をしていない場合には、勤務先から源泉徴収票を受け取り、自分で確定申告を行なわければいけません。
確定申告は義務ではありませんが、確定申告すれば払いすぎた所得税が還付されます。
掛け持ちでアルバイト・パートをしている
年末調整は1ヶ所でしかできません。つまり掛け持ちでアルバイト・パートしていると、1ヶ所で年末調整をしてくれていても、もう片方は所得税が天引きされたままの状態になっています。
掛け持ちで年収が103万を下回っている場合は、確定申告をすることで収めすぎた所得税が還付されます。
年内に辞めた仕事がある
年の途中で辞めた仕事がある場合、退職したアルバイト・パート先で年末調整を受けられないため、自身で確定申告する必要があります。
退職した翌年以降5年以内なら、確定申告を行えます。
ですが、扶養内のアルバイト・パートで所得税の源泉徴収票が退職するまでになかった場合は、確定申告する必要はありません。
また、年の途中で新しいアルバイト・パート先で働き始めた場合、新しいアルバイト・パート先に以前の勤務先の源泉徴収票を提出すれば年末調整を行なってくれるので、確定申告は不要です。
アルバイト・パートで確定申告が不要な場合
アルバイト・パートで確定申告が不要なケースは以下の2点になります。
・掛け持ちせず、年末まで仕事を続けている
・年収103万円以下、月収88,000円以下
アルバイト・パート先が1ヶ所しかないのであれば、確定申告は不要です。
年収103万円以下、月収88,000円以下であれば「給与所得者の扶養控除等申告書」をアルバイト・パート先に提出するだけで大丈夫です。
そもそも所得税の源泉徴収されていないので、確定申告する必要がないのです。
まとめ
「税金」と聞くだけで、苦手意識があったり、不安になる方は多いと思います。
「課税される」「確定申告の手間がある」と言われると、税金でごっそり持っていかれそうなイメージを持つかもしれませんが、経費を差し引くことで課税金額を大幅に抑えることがおわかりいただけたのではないでしょうか。
収入を得るためにかかった経費として認めてもらうためには、根拠と証明書が必要になりますので、レシートや領収書はしっかりともらい、保管するようにしましょう。
また、確定申告は自分で行えますが、「経費の計算がめんどくさい」「確定申告している暇がない」という方もいらっしゃると思います。
そんな方は、税理士に相談してみるといいと思います。
確定申告は税理士資格のある人だと代わりに行うことができますので、基本1回の確定申告に10万円ほどで対応してくれると思います。